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※このページの情報は、2013年取材当時のものです。

澄んだ空気と、少々厳しい自然の中で育った頑丈な鶏から産まれる 橋本さんの「ララコープ産直たまご」
(産直品インタビュー:長崎県養鶏農業組合 橋本 重雄さん)「ここ、わかりにくかったでしょう?」そうですね。山に登っていく感じですし、だんだん道は狭くなるし、まさかこんなに開けた場所があるとは(笑)。「40年前に土地を買ってね、自分で鶏舎を建てて始めたんですよ。」 けっこう標高差がありますよね。「気温は若干低くて、平地に比べて寒暖差は大きいんですけど、ここはほら、空気がいい。」 確かに、めちゃくちゃ気持ちいいです。見上げれば普賢岳、見下ろせば有明海。「人間と一緒で、環境は大事。」えーっと、橋本さんのところは開放鶏舎ですか? 「そうですそうです。こういう場所だから、開放鶏舎にして鶏にもおいしい空気をいっぱい吸ってもらわんと。」 ええ。「最近は確かにウインドレス鶏舎が増えてるようですね。知ってますか? ウインドレス鶏舎…。」はい。窓がなくて、温度とか明るさを人の手で調節できるんですよね。鶏がいつでも快適なように…。「さすがによく知ってますね(笑)。でも、うちはあえて開放鶏舎にこだわってるんです。外界から隔離されてないから、暑いのも寒いのも鶏にはダイレクトに伝わりますけど。」この新鮮な空気で鶏もすくすくと…。「おいしい空気の中で元気な鶏を育てるのがうちの養鶏場の特長ですね。 朝になったら陽が昇って、夜は暗くなって、冬は寒いし夏は暑い。 そういう自然の中で育てるのがポリシー。 厳しい環境はね、鶏を頑丈にするんです。」 でも管理は大変でしょう?「そりゃあもう!鶏ができるだけ暑がったり寒がったりしないようにいろいろ工夫してますよ。夜中でも起きてカーテンを開け閉めしに行くなんていうのはしょっちゅう。 もうほとんど、寝てる時以外は鶏のことばっかり(笑)。」はい。「でも、そこが養鶏家の技術なんですよ。後で見てください、うちの鶏はとさかが赤いから。」 とさかが赤い?「健康の印です。とさかの色で健康状態がわかるんですよ。あとは鶏の表情ね。」表情…。「体調が悪い鶏は表情に出る。」そういう見極めができるのも養鶏家の技術なんですね。「40年間鶏と一緒にいるから。かぁちゃんより長い(笑)。」確かに(笑)。 鶏は何羽ぐらいいるんですか?「今8万羽です。鶏舎は3か所あるんですけど、生協に納めるたまごは一番高い場所にある鶏舎で産んだやつが多いですね。」 さらにいい空気で育った鶏から産まれたたまご。おいしくないはずがない。ところで、お仕事は毎日何時から始まるんですか?「8時からです。かぁちゃんと息子と従業員とで、今は全部で6名かな。たまごは午前中にほとんど産まれるから、2時ぐらいまでは全員で集卵して、養鶏農協に持って行って、農協のGPセンターでパック詰めして出荷ですね。」その後のお仕事は?「餌と水のチェックをして、鶏の健康状態を見てまわって、あとは機械のメンテナンスとか。なんやかやあります。」 1日にどのくらいのたまごを納めてるんですか?「そうですねぇ、7万個弱ぐらい。」すごい数…っていうか、想像がつかないです。「産卵率は平均で85%。 1日に成鶏の85%がたまごを産むというのが平均ですね。鶏がたまごを産む時期は、だいたい140〜570日齢で、そのうち鶏がもっとも多くたまごを産むのは、180日齢から250日齢ぐらい。その間にどれだけ多くのたまごを産ませるかが勝負。養鶏家の腕です。」 できるだけ多く産ませるためには、さっきお聞きした環境とか…。「あと、餌ね。今うちで使っている餌はすごくいいんです。」いい?「養鶏農協が開発したオリジナルの餌ですが、とうもろこし主体で、いろんな栄養をたっぷり含んだやつ。これがね、黄身が美しくて味が濃くて、とにかくうまいたまごができる。値段は決して安くないけど、餌にはこだわりたいね、やっぱり。」 いい環境にいい餌に…。「点灯管理ってご存知ですか?」いいえ、すみません。「鶏は明るくなければたまごを産まないんです。 つまり、日が長ければそれだけたまごを産みやすくなる。」そうなんですか? 知りませんでした。「だから、我々は鶏の状態を考えながら、段階に応じて点灯時間を調整して、たまごを産みやすい環境を作るのも大切なんです。」 あぁ、それが点灯管理なんですね?「もちろん、単に明るくすればいいというもんじゃない。日齢、体調、そんなものを見極めながらね。」ええ。「生きものとして健康に育つための自然環境と、生産性を上げるための、自然をできるだけ利用した人間の技術力。このバランスをうまく保つかでしょう。」でも、それを実践するのが大変。「口で言うのは簡単ですけど。」橋本さんのところは、ひよこはどれぐらいの日齢のものを購入してるんですか?「うちは生まれて数時間のひよこを買ってくるんです。」 生まれたて?「できるだけ小さいうちから自分で育てたいっていうのもあるし、ここの環境に早く慣れさせたいし。ひよこがたまごを産み始めるまでにだいたい5ヶ月間かかるんですけど、その間の世話は息子が担当です。」へぇ〜。「生後1週間で体の基礎ができて、健康に育つか否かはその後の5ヶ月弱の飼い方もかなり重要になりますね。」 ひよこはやはり、成鶏と違う環境で?「ひよこの場合は室温32度、湿度70〜80%に保ってやらんと。」ずいぶん細かいんですね。「そこは過保護に。だから冬は大変ですよ。ボイラーを炊いて、沸騰する前のお湯を床に通して…。」ワクチンの接種も必要ですよね?「もちろんです。定期的に1羽1羽打つのも、これが意外と難しい。」病気は怖いですしね。この仕事で何が一番怖いかって、そりゃあ病気ですよ。 特に開放鶏舎はね、常にクリーンにしとかないと。オールインオールアウトは当たり前。 鶏を鶏舎に一斉に入れて一斉に出す…。「アウトした後が大変なんですよ。」鶏舎の掃除?「うちは水洗いと消毒に1ヶ月かけてます。ピカピカにしてから新しい鶏を入れないと、万が一病原菌があったりしたら、それこそアウトですから(笑)。」 いやぁ、このお仕事は一筋縄ではいかないことばかりですね。「その通り!」生協のたまごは組合員さんにも評判ですから、それを背負って立つ存在として、これからもぜひ、よろしくお願いします。「厳しい世の中ですけど、食卓からたまごがなくなる日はないですからね。」今日はお忙しい中、ありがとうございました!(橋本さんの養鶏場は、こんなトコロ)島原半島の北東部・高台に点在する鶏舎は、普賢岳が目の前にそびえる迫力ある光景が印象的。後ろを振り向けば豊かな生き物たちの宝庫・有明海が広がっています。

生活共同組合ララコープ

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